ドクターズボイス

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インタビュー「リハビリテーションについて」

小川犬猫病院のリハビリテーションについて、小川浩子先生にお話を伺ってきました。

整形外科+ペインコントロール+リハビリテーション

Q:どのようなきっかけで、リハビリテーションを取り入れていくことになったのでしょうか。

当院の方針として、院長が整形外科をやっていくにあたって、手術だけで終わらせるというのではなく、術前術後をケアすることにより、より早く、機能回復をしてあげたいと言う気持から、リハビリテーションを取り入れて行くことになりました。
例えば、当院では、ペインコントロール(鎮痛コントロール)を比較的早い時期から取り入れていました。
術前から痛み止めを入れて、術中の痛み止め、そして、術後の痛みのケアをしてあげることによって回復が早くなるからです。
同様にリハビリテーションの導入も早期回復が目的です。
整形外科+ペインコントロール+リハビリテーションと言う三位一体の考え方でやっていこうと、2005年から始まりました。

Q:リハビリテーションは、具体的にはどのようなことをしているのですか?

リハビリの流れとして、まずは術後の炎症を出来るだけしずめて痛みを減らすこと、そして傷を治癒させながらも関節が固まらないように、かつ筋肉が出来るだけ萎縮しないようにするために過剰な負荷を与えずに動かすことから始まります。

最終的に肢を損傷前の状態に近づけるための強化といわれる段階はある程度の傷の修復と安定が得られてからなのでそれまでは無理をしない、コントロールされた運動からはじめていきます。
例えば、術後の二日、三日は、やはり痛み止めを使っていても、腫れや痛みが出たり、むくみが起きたりします。
この術後の三日間くらいは、急性期のリハビリと言うのですが、できるだけ痛みをとってあげるために、関節をゆっくり動かしてあげたり、一日数回冷やしてあげたり、スタッフ全員がそのことに集中・協力して見ていく期間となります。
この間は、目が離せないので、スタッフも気が抜けません。
そして先ず足を使わせる第一歩は手術した肢に体重をのせられること(=負重)からはじまります。
その時、痛みや違和感がある場合、どんなに「足を使おうね」とやっても、使わないのです。
痛み止めがちゃんと効いているか、痛み止めの副作用は出ていないか、患部の腫れはどうか、関節を動かした時に違和感は無いか、手術のインプラントの動揺や破損はないか、患肢の負重はできるか、などそういったことをリハビリ室で歩かせたり触ったりしながら確認していきます。
モビライゼーションと言うのですが、関節に軽度の動きを与えることにより関節内の循環がよくなり炎症が減る事によって肢の腫れがひいたりします。
また術後の痛みや炎症を和らげる手段としてレーザー療法も行います。使用しているClass3Bレーザーは別名コールドレーザーともよばれ、患部の細胞に直接働き細胞分裂を促進したりコラーゲン増生や軟骨刺激作用もあり組織の修復が早まります。また鎮痛作用もあるのでよく利用します。
また基本的には、絶対安静というのではなく、翌日から数分くらいですが、病院のリハビリ室とかランとかで少し歩かせたりということもスタートします。

Q:それらはプログラムのようなものがあって、それに沿って行うのですか?

はい。ただし、プログラム通りにリハビリをすれば良いというものでもありません。手術から含めた回復までを考えて、その子にあわせて変えることもあります。

Q:お話しを聞いていて思ったのですが、リハビリテーションという形で動物と触れ合うことは、人であれば言葉で告げられる症状を、代わりに読み取っていくという役割でもあるようですね。

そうですね、動物とのコミュニケーションという意味でもその役割は大きいと思います。

リハビリの施術者はリハビリの際には常に心穏やかに、を心がけるようにしています。人の感情は不思議なことに表情や手から微妙に犬に伝わっていきます。リハビリ時に自分がイライラしていたりすると犬も落ち着かない原因となるからです。またリハビリを行う場所も出来るだけ静かな環境で落ちつて行うようにしています。

Q:最後にお聞きします。小川犬猫病院においてリハビリテーションは、それ単体で在るものというよりは、外科手術を支えるものとして、怪我からの機能回復の為の一連の治療の一部を担うものであるということですね。

その通りです。
術前の痛み止めから始まって、手術、その後、痛み止めを継続しながら、リハビリテーションを実施していくという一連の治療の流れとなります。
私は、このようなことが、整形外科手術+ペインコントロール+リハビリテーションの三位一体だと思って治療を行っています。

Q:今日は、ありがとうございました。

ありがとうございました。

 

お話し:小川浩子先生
Canine Rehabilitation Institute (CRI)
CERTIFIED CANINE REHABILITATION THERAPIST (CCRT)

 

以上。