ドクターズボイス

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新しい”犬の椎間板ヘルニア”への外科治療 〜PLDDについて〜

原理

レーザーを椎間板に当て蒸散させ、椎間板内の内圧を下げ椎間板の突出する力を軽減する。(図1)

対象

椎間板ヘルニアの初期の犬。
不全麻痺や慢性腰痛を示す高齢犬。
再発予防を目的とした椎間板ヘルニア手術時の他部位への使用。

方法

透視の器械を使用して椎間板内に外から針を挿入し(図2)、特殊な細いレーザーファイバーを針の中に入れて、椎間板内まで到達させレーザーを椎間板に照射する方法。針を使用して行えるので、皮膚を切開する必要がないのもこの治療の優れているところであります。

入院・術後

入院は、1日〜2日することになります。
処置後痛みを示す事は殆どありませんが、術後一過性の腰痛を示した場合、入院による鎮痛治療をおこないます。

術後管理

退院後は、激しい運動を避け、軽い散歩での運動を中心に2週間ほど管理し、その後徐々に普段の生活へ戻していきます。

犬の椎間板ヘルニアは、ミニチュア・ダックスフンドを中心とする異栄養性犬種(ウエルシュ・コーギー、シーズー、トイ・プードルなど)に多く発生し、これらの犬種が日本では多く飼われている事もあり、日々の診療でよく診る疾患になっています。
一般的に、椎間板ヘルニアを起こした犬への治療は、その程度により、外科治療と内科治療をそれぞれ状況に合わせて選択し行われていますが、症状が軽く内科治療を選択出来たとしても、しばらくしてからの再発が多く、最終的には外科治療になってしまう事も多くあります。
外科治療の結果は、その手術時期と麻痺の程度により様々であるものの、比較的予後はいいものであります。
しかしながら、外科手術の場合、その程度の悪い部分を選んで行なわれ(一般的には1カ所から2カ所まで)、しばらくしてからその手術部位以外で発生する事があり、その発生率は約20%~30%と考えられています。

本院でも治療を行う中、この再発を経験していますが、その他にも老齢犬に多く見られるタイプでありますが、軽度の椎間板ヘルニアが多発し、慢性的な腰の痛みや不全麻痺を起こしている為、ある程度全ての部位を同時に治療する必要がある場合や軽度の椎間板ヘルニアがあり今後悪化する事が推測出来るような状態でありながら、まだ外科手術をする程度ではない場合など、犬の椎間板ヘルニアについてはたくさんの医療におけるジレンマがあります。
そんな中、新しい治療方法としてこのPLDD(レーザー治療)を用いることでこれらへの治療が行えるようになりました。
人の医療においても同様でありますがこの治療が全ての椎間板ヘルニアに効果的があるわけではありませんが腰の病気の予防や治療の方法の1つの選択肢になればと考えています。

図1
透視を用いて椎間に針を挿入しているレントゲン写真。この針の中にレーザーファイバーを入れ、椎間板を蒸散させる方法。

図2
透視を見ながら、針を椎間板まで進めていきます。皮膚は切開する必要はありません。(画像をクリックすると拡大できます)