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専門医療 レッグ・ペルテス病 Legg-perthes disease

日本では大腿骨頭壊死症とも呼ばれトイプードル、マルチーズ、チワワなどトイ犬種や小型犬の股関節における病気として診られます。
成長期に大腿骨頭や骨頸部への血液供給が障害され、骨頭の成長が著しく悪くなったり、壊死してしまい、骨格の形成が悪くなる病気です。人体医学界でも、似たような病気に特発性大腿骨壊死症という病気が知られています。

症状
症状は、朝起きたら、散歩から帰ってき時などに突然症状がみられるようになり、体重を乗せることを嫌うように立っていたり、スキップして走ったり、完全に挙上してしまったりと様々な程度でみられます。その多くは、すでに足のふとももの筋肉量が正常肢(一般的には反対肢)と比較して細くなってしまっていることが多いことから、症状が現れる以前からある程度はかばいながら歩いていたことと思います。病気は、片側だけに発症する場合と両側に発症してしまう場合とあります。

診断
触診で股関節の痛みを見つけることから始まります。
レントゲン検査では、大腿骨頭の形が悪くなっていることで見つけることは比較的容易ですが、初期の段階ではレントゲン検査ではまだあまり変形が見られない場合がありわかりにくく、この場合CTやMRIによる特殊検査での診断が必要になることがあります。

                                                     

写真1 8ヶ月齢、トイプードル 4kg         

左足に体重を乗せたがらないとして本院を来院。左股関節の形が変形している。  

 

治療
初期の場合、痛み止めなどで一時的に緩和することができますが、最終的には外科治療が行われます。一般的には、痛みを抑える目的での大腿骨頭を切除する方法が行われます。手術は、比較的容易で安定した方法ですが、その後大腿骨頭のない歩行を行うことになります。
そのため、術後はできるだけ早くから股関節を動かす練習としてリハビリテーションを行い正常に近い歩行ができるよう治療を続けることがとても重要です。
術後経過は、小型犬においては比較的安定していますが、やはり股関節の連結がない状態での歩様は、許容できる範囲での評価となります。近頃は、術後経過に対しての詳しい分析も行われるようになり、正常に近い関節に戻すことは難しいと考えられています。そんな中、人の医療と同じように大腿骨頭を取り除くだけでなく、そこに人工的な関節を設置し、その関節で生活をする、いわゆる人工関節手術の治療法も行われるようになっています。
元々動物の股関節の人工関節手術は、犬股関節全置換手術として、大型犬での歴史は古く、その進化は、人間の医療と同じように初めは、人工関節インプラントをセメントと呼ばれる接着剤で骨に止めるセメント法から始まり、1993年からはセメントを用いらないセメントレス法が行われるようになり、今現在においては、このセメントレス法が中型〜大型犬に対してのスタンダードな方法として安定した成績を納められるようになりました。特に、術後は人工的な関節になっているので特段リハビリを行うことなく、自分のペースで歩く間に正常な歩行に回復できることが動物医療には適している方法です。
そんな中、トイ犬種をはじめとする、小型犬においても近年では、この大型犬のノウハウを生かしたセメントレス手術が行われ始めています。
セメントレス法はセメント法に比べて長期的な安定が期待できるため、子犬のうちに発症する患犬の生涯の関節代用としては非常に期待される方法であると考えます。

       

写真2  それぞれの手術写真。 左 4kgトイプードル 大腿骨頭切除術 中央 3.2kg チワワ股関節全置換手術(セメント法) 右 3.8kg トイプードル 股関節全置換手術(セメンレス法)

動画 左股関節レッグペルテス病に対し、人工関節手術・セメントレス法を実施し、退院後2週間。飼い主様から動画が送っていただきました。まだ、十分ではないですが、術前ほとんど使えなかった左後ろ足でしたがずいぶん回復の兆しが見られています。

 

股関節人工関節全置換術( mini THR )の ケースレポート Part : 1 はこちら

猫の股関節人工関節全置換術(mini THR)  ケースレポート Part : 3 はこちら

股関節人工関節全置換術( mini THR )の  治療経過報告はこちら

 

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