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犬における最終ステージの肘関節疾患への対応

 

大型犬における肘関節疾患は、成長期の時期から始まります。最終的には肘関節の関節軟骨が無くなり、関節面が擦れ合ったことによって生じる持続した痛みを示すようになります。症状は、最初は頭を揺らすような歩き方(点頭運動)が見られる程度ですが、徐々に立ち上がったり、しゃがんだりし辛くなります。人の膝関節疾患とよく似た症状です。

状態によりリハビリや鎮痛剤の使用が行われ、外科手術、関節鏡手術などによって進行を止めるような治療を行いますが、病態が徐々に進行し、残念ながら最終ステージに至ってしまうことがあります。

今現在、最終ステージに対する治療方法で、完璧な治療法は発明されていません。しかしながら、少しでも機能が回復すること、そして病態の進行を遅くすることを目的にした治療法は行われています。

 

CUE (Canine Unicompartmental Elbow) 

関節軟骨が欠損してしまっている最終ステージの肘関節に対して、痛みを軽減し進行を遅らせる目的で行われる「関節面の部分的置換手術」があります。

約10年前にアメリカのArthrex社がミズリー大学と共同開発しました。日本での治療実績は残念ながらあまり多くはなく、本院での7例なっております。(2022年現在)

その治療後の歩様も、決して完璧な回復ではありませんが、充分に許容できる範囲に治まっていると感じます。そして、治療後に散歩などの運動が継続できていることは評価できることであると思います。

術後約3年の歩様がこちらです。 左前肢:CUE:2019年11月 手術

レントゲン画像

 

この手術が盛んに行われている欧米での飼い主様アンケートでは、術後結果として「満足・許容できる」が全体の ”約90%” になっているとの報告があります。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4535516/

より良い治療法が待たれる一方で、痛みの軽減を目的にした緩和的治療として「CUE手術」は、今現在において有力な治療法の1つになるでしょう。

 

専門医療 犬の肘の病気 に関する記述はこちら。

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