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肘関節疾患の治療を受けられた患者様のご紹介です

犬の肘関節疾患の治療方法は、世界中で日々効果的な治療法を見つけるべく研究されていますが、未だ安定した治療法はなく、診療の場で対応に悩まされることが多い整形学的疾患です。

今回は、8年前に右肘に手術(PAUL)を実施し、寿命を全うするまで大好きな散歩を続けられた子で、飼い主様が是非紹介して欲しいと動画を提供くださいましたのでご紹介させていただきます。

 

しんごちゃん ゴールデンレトリバー 享年15歳。

 

生後1歳で左前足の跛行で来院され、左肘関節鏡検査を行いました。早期の肘関節形成不全症と診断し近位尺骨骨切り術を実施しました。肘関節形成不全症は、多くの原因は分かっていませんが、両肘に発症することが比較的多く見られます。

術後程なくして跛行はなくなり元気にしていましたが、飼い主様の提案より2ヶ月後に反対側の肘関節においても、症状はないが精査することになりました。

レントゲン検査、関節鏡検査を行いましたが問題ないと判断しました。

その6年後しんごちゃんがちょうど8歳になった頃から右前足の跛行がみられるようになってしまいました。

再度、関節鏡検査を行ったところ、肘関節形成不全症の最終ステージになっていました。肘関節疾患は、進行してしまうとなかなか効果的な治療法がないのですが、今回飼い主様と相談して、少しでも緩和できることを期待し、PAUL手術を実施しました。術後6週間の間、週一回のリハビリを経てゆっくりと普通の生活が送れる様になり、その後7年、大きな問題も起こさず、老後ではおぼつかなくなる足取りであるものの歩き回るのが大好きだったしんごちゃんが最後まで歩いてくれました。

飼い主様から提供していただいた、ドッグランでの様子です。

 

 

今回、当時はまだ日本ではあまり行われていなかったPAUL手術を選ばれた飼い主様のご理解とご勇気に感謝するとともに、このような情報を皆様にお伝えしたいと言っていただけた気持ちに感謝します。

一人の医療に従事する者として、改めて治療を進めていく勇気をいただくことができました。

しんごちゃんのご冥福をお祈りします。

 

 

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