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上皮小体腫瘍について

こんにちは。獣医師の永井です。
10年に1度の寒波、寒いですね。100年に1度の寒波が来ないことを願いながらの今日この頃です。

今回は、上皮小体腫瘍について紹介します。
上皮小体は頸に存在する2mmほどの臓器であり、その存在感は薄いものの、カルシウムやリンなどの電解質を調節するホルモンを産生するとても重要な器官です。
上皮小体腫瘍は、犬での発生は珍しく、猫では極めて珍しいとされています。この病気は、上皮小体腫瘍から過剰なパラソルモンが放出され、高カルシウム血症を引き起こします。症状は高カルシウム血症に続発した、食欲不振、多飲多尿、嘔吐、下痢など非特異的なものが一般的です。


今回治療したワンちゃんの腫瘍は、正常サイズの上限ほどの大きさでした。異所性上皮小体腫瘍が無いことをCT検査で確認し、手術により摘出しました。病理検査は、上皮小体腺癌でした。
摘出後は12時間ほどでカルシウムが下がり始め、正常範囲内で安定しました。

取り出した米粒より小さい組織を見ながら、大きくなるまで症状が出ない腫瘍もあるのに、こんなに小さい腫瘍が悪さをしていたなんて、上皮小体恐るべし…。
カラダの不思議を再発見させてもらった症例でした。

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