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全耳道切除、鼓室胞切開

こんにちは、獣医師の依田です。

今回は、耳の根元の腫れで来院したわんちゃんの紹介です。

飼い主様が数日前から耳の根元の腫れに気がつき、食欲も落ちていたので来院されました。また、1ヶ月くらい前からご飯を食べるときに痛そうに鳴くことがあったそうです。
左耳の付け根が大きく腫れ、硬くなっていました。細い針を刺して検査すると菌や白血球が集まっていて、感染が疑われたので抗生物質を内服してもらいました。また、レントゲンでは耳道が石灰化している所見が見られました。

 

抗生物質で1週間ほどで腫れはひきましたが、痛みは残っていそうでした。耳の中の疾患が疑われたので、CT検査を実施しました。
CTでは左耳の耳道、鼓室胞の中に充実性の病変が見られ、耳道の骨は一部融解していました。CTの所見から真珠腫性中耳炎が疑われました。真珠腫は外耳炎などにより鼓膜が破れ、鼓膜の内側の中耳内、鼓室胞に上皮細胞が浸潤することで慢性的に炎症が起こり、痛みや神経症状、開口障害といった症状が出ます。

 

今回は神経症状はありませんでしたが、痛みや開口障害は出ていましたため、さらに進行していく前に外科手術で治療しました。手術は全耳道切除術、鼓室胞切開を行い、外側から耳道を切除し、鼓室胞の中をしっかり剥離、洗浄しました。切除した組織を病理検査に提出し、返ってきた結果は慢性外耳炎と鼓室胞の真珠腫でした。

術後はとても元気でご飯もよく食べてくれ、食べるときの痛がる様子も無くなったそうです。病院で見る限りでも、初めて来た時と比べ、手術後再診で来てくれた時は別人のように溌剌としていました。大きな合併症もなく、元気になってくれてよかったです!

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