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腸腺癌について

こんにちは。獣医師の永井です。

 今回は犬の腸腺癌についてです。犬の腸腺癌は、消化管腫瘍のうち30%程度を占め、大腸(結腸から直腸)での発生が多いとされています。発生部位により異なりますが、下痢、体重減少、血便や黒色便のなどの症状が認められます。
画像検査、内視鏡検査、病理組織学的検査により診断し、外科的切除を行うことが第一選択とされています。切除を行わなかった場合の平均生存期間は2週間、切除を行なった場合は1年前後と、病態にかかわらず積極的な外科的治療が必要な疾患です。術後はその子の状況に応じて、抗がん剤投与を行うことがありますが、生存期間を延ばせるかは明らかではありません。

 今回治療させていただいたワンちゃんは、数年前より蛋白漏出性腸症の治療中で、3ヶ月ほど前より便に鮮血が付着することがあるとの事で来院されました。

 腹部超音波検査で、回盲部(小腸と大腸の境目)の腸壁の肥厚を認め、細胞診で腫瘍性疾患を疑う結果でしたので、CT検査で転移の有無を確認し、回盲部切除を行いました。

 病変の超音波画像

 病変のCT画像

 回盲部には、回盲弁があり便の量の調節や細菌叢の分離の役割があり、切除すると一過性に下痢になることが多いとされています。今回のワンちゃんは下痢もなく、翌日からご飯もしっかり食べてくれて、元気に退院していきました。現在は、術後補助療法として、3週間に1回の抗がん剤を行いながら、経過観察を行なっています。

下痢、血便や体重減少など気になる症状があれば、当院へご相談ください。

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