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猫の甲状腺機能亢進症について

こんにちは。獣医師の永井です。
今回は、猫ちゃんの甲状腺機能亢進症について紹介します。

甲状腺機能亢進症は、高齢猫に多い内分泌疾患の一つで、人ではバセドウ病という病名です。甲状腺ホルモンは代謝に関わるホルモンであり、過剰に産生されることで全身の臓器に負担がかかります。臨床徴候として、食欲増進、体重減少、多飲多尿、活動性の亢進、嘔吐、下痢、高血圧、頻脈などがあり、甲状腺ホルモンが高値であれば確定診断となります。

日本では、主に内科的治療が選択される事が多く、中でも抗甲状腺薬の投与が一般的です。投薬量の調整が必要ですが、量が決まれば比較的安定した管理が可能です。また、ヨード制限食による治療も、経験的には安定した数値が得られ、治療効果が高い印象です。内科的治療の欠点としては、生涯にわたる投薬治療や厳格な食事管理が必要なため、根気のいる治療になります。

外科的治療は、投薬困難や食事管理ができない場合、甲状腺腫瘍が疑われる場合に選択される治療法です。基本的には原因となる方の甲状腺を摘出することで、ホルモン値は正常化しますが、両側性の場合は2回に分けて両方摘出する場合もあります。また、慢性腎臓病の程度によっては、内科的治療の方が適切な場合もあります。

今回治療させて頂いた猫ちゃんは、甲状腺が腫瘍化し、数値が不安定になってきたため、甲状腺摘出を行いました。術後2日で退院し、無治療で数値は安定している状態です。
先日の検診で、体重が増えて毛並みもフワフワになり、より一層かわいくなっていました。

ホルモンの数値が安定しない、思い切って治療法を変えたいなど、困ったことがありましたら、当院へご相談ください。          

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