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胆嚢粘液嚢腫について

こんにちは。獣医師の永井です。
今回は胆嚢粘液嚢腫についてです。

胆嚢粘液嚢腫は胆嚢内にムチンと呼ばれるゼリー状の物質が蓄積する疾患です。その発生機序はまだ分かっていませんが、リスク因子として「高脂血症、内分泌疾患、胆嚢の運動性低下」などが報告されています。症状は、嘔吐、下痢、腹部痛などの消化器症状が主ですが、無症状の場合も多いとされています。胆嚢粘液嚢腫が胆嚢破裂や総胆管閉塞に移行した場合は、症状が重篤になり緊急的な手術が必要となります。

胆嚢粘液嚢腫の内科的治療は確立しておらず、改善する事は非常に稀です。ただし、内分泌疾患が原因になっている場合は、ホルモン値をコントロールする事で改善を認める場合があります。
胆嚢粘液嚢腫の外科的治療としては、胆嚢摘出術が行われています。胆嚢がなくても肝臓で作られた消化酵素が十二指腸に直接流れるため、基本的には切除しても生活に影響はありません。胆嚢破裂や総胆管閉塞に移行した場合は、術後の合併症発生率が高い傾向にあるため、より早期に胆嚢切除を行うことが予後の改善につながると考えられています。

今回治療させて頂いたワンちゃんは、胆嚢粘液嚢腫の経過観察中に胆嚢破裂が生じ、緊急手術を行いました。胆嚢は粘液貯留により重度に拡張し、胆嚢壁の血流が悪くなり壊死が生じた結果、破裂していました。手術で胆嚢摘出を行ったあと、数日は胆汁性腹膜炎が続きましたが、術後6日で無事に退院されています。

 

 

胆嚢疾患でお困りの際は、当院へご相談ください。

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